「鯉(こい)のぼり」
作詞作曲不詳
文部省唱歌(五年)
甍(いらか)の波(なみ)と雲(くも)の波(なみ)、 重(かさ)なる波(なみ)の中空(なかぞら)を、 橘(たちばな)かおる朝風(あさかぜ)に、 高(たか)く泳(およ)ぐや、鯉(こい)のぼり。
開(あ)ける広(ひろ)き其(そ)の口に、 舟(ぶね)をも呑(の)まん様(さま)見えて、 ゆたかに振(ふる)う尾鰭(おひれ)には、 物(もの)に動(どう)ぜぬ姿(すがた)あり。 百瀬(ももせ)の滝(たき)を登(のぼ)りなば、 忽(たちま)ち竜(りゅう)になりぬべき、 わが身(み)に似(に)よや男子(おのこご)と、 空(そら)に躍(おど)るや鯉(こい)のぼり。